設置義務なのに罰則がない火災警報器

住宅用火災警報器の設置は、消防法令で義務づけられています。ところが、つけていなくても罰則はありません。総務省消防庁の「住宅用火災警報器Q&A」に、そうはっきり書かれています。

罰則がない義務は、後回しにされます。その結果が数字に出ています。

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住宅火災で亡くなる人の4分の3は高齢者

令和6年版消防白書によれば、令和5年中の火災による死者数は1,503人。このうち放火自殺者等を除いた死者数は1,228人で、年齢別にみると65歳以上が73.8%を占めています。建物火災に限ると死者は1,200人、そのうち93.9%にあたる1,127人が住宅で発生しました。

住宅火災による死者(放火自殺者等を除く)は1,023人で、前年より51人・5.2%増えています。うち65歳以上は762人、全体の74.5%。年齢階層別に人口10万人あたりの死者数をみると、81歳以上の階層は全年齢階層の平均の4.1倍でした。

年齢が上がるほど、同じ火事でも死にやすい。

警報器の効果は数字で出ている

消防庁が令和2年から令和5年までの4年間の失火による住宅火災を火災報告から分析したところ、住宅用火災警報器が設置されている場合は、設置されていない場合にくらべ死者数と損害額が半減し、焼損床面積は約6割減という結果になりました。日本より先に義務化を進めた米国では、1970年代後半に火災による死者が約6,000人でしたが、普及率が90%を超えた近年は3,000人弱と、ピーク時から半減しています。

設置場所は、寝室と、寝室がある階の階段上部(1階の階段は除く)。市町村の火災予防条例によっては台所やその他の居室にも必要です。なぜ寝室なのか。消防庁の説明は明快で、近年の住宅火災の死者を経過別にみると逃げ遅れが最も多く全体の約6割を占めること、火災件数は起きている時間帯に多い一方で死者数は就寝時間帯のほうが多いこと。この二つが理由です。

消防庁は「10年を目安に交換」を呼びかけています。電池が切れれば鳴りません。月に一度は点検ボタンを押して音を確かめてください。耳の遠い方や目の不自由な方には、音や光で知らせる補助警報装置を増設する方法があります。

火のもとは、たばことストーブ

令和6年版消防白書は、住宅火災の発火源別死者数(放火自殺者等を除く)でたばこが最も多く、次いでストーブ、電気器具の順であると報告しています。最初に着火した物は寝具類が最多で、次いで衣類、内装・建具等。時間帯別では0時から6時と、18時から20時に死者が多くなっています。

寝たばこで布団に火がつき、寝ているあいだに煙が回る。データはその筋書きを指しています。

消防庁は毎年の全国火災予防運動にあわせて「住宅防火 いのちを守る 10のポイント」を示しています。合意にもとづく推奨事項であり、それぞれの効果量が測定されているわけではありませんが、上の統計とよく対応しています。

4つの習慣。

  • 寝たばこは絶対にしない、させない
  • ストーブの周りに燃えやすいものを置かない
  • こんろを使うときは火のそばを離れない
  • コンセントはほこりを清掃し、不必要なプラグは抜く

6つの対策。

  • ストーブやこんろ等は安全装置の付いた機器を使用する
  • 住宅用火災警報器を定期的に点検し、10年を目安に交換する
  • 部屋を整理整頓し、寝具・衣類・カーテンは防炎品を使用する
  • 消火器等を設置し、使い方を確認しておく
  • お年寄りや身体の不自由な人は、避難経路と避難方法を常に確保し、備えておく
  • 防火防災訓練への参加や戸別訪問などにより、地域ぐるみの防火対策を行う

消火器は、置いてあるだけでは意味がない

令和5年中の出火件数は3万8,672件。1日あたり106件の火災が起きている計算になります。このうち、消火器を使った初期消火が行われたのは18.2%。一方で、初期消火がまったく行われなかったものが36.9%ありました(令和6年版消防白書「1.出火状況」)。

3件に1件以上は、誰も何もできていません。使い方を知らない消火器は、家具と変わりません。栓の抜き方とホースの向け方だけでも、家族で一度は触っておく価値があります。

寝室から玄関までを、暗いなかで歩けるか

「10のポイント」の5番目は、高齢者や身体の不自由な人が避難経路と避難方法を常に確保しておくことです。死者の約6割が逃げ遅れであり、しかも0時から6時に多いという事実からすれば、確かめるべきは昼の避難経路ではなく、明かりが消えた夜の避難経路になります。

寝室から玄関までの間に、荷物や新聞の束が積まれていないか。廊下の途中で方向転換が必要な場所はないか。枕元に懐中電灯と履物があるか。地震で家具が倒れた場合、その経路がふさがれないか。この四つを確かめるだけなら、10分で終わります。

点検は、家族と一緒にやったほうがいい。ひとりで自分の家を見ると、見慣れた景色として素通りしてしまうからです。

今日できること

警報器の点検ボタンを押す。製造年を見て、10年を過ぎていれば買い替えの日程を決める。寝室の警報器がなければ、まずそこに一つ。順番はこれで十分です。

参考文献

  • 総務省消防庁「令和6年版 消防白書」第1章第1節「2.火災による死者の状況」
  • 総務省消防庁「令和6年版 消防白書」第1章第1節「1.出火状況」
  • 総務省消防庁予防課「住宅用火災警報器Q&A」(住宅防火関係 住宅用火災警報器を設置しましょう!)
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この記事を書いた人

hasejiiのアバター hasejii 110歳健康寿命プロジェクト 運営者|介護福祉士|デイサービス管理者(経験10年)

介護福祉士として、デイサービスの管理者を10年間経験。現場で見てきた「健康に老いるための工夫」と最新の医学・栄養学の知見をかけ合わせ、世界第1位の平均寿命を誇る日本の食事・運動・睡眠・心の習慣を、優しい言葉で紐解いていきます。

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