私は、介護は「ある日突然やってくる」と思っています。親の転倒、配偶者の入院、自分の体調の変化。その瞬間に慌てないために、制度を先に知っておくことが何よりの備えです。今日は介護保険の基本を、数字で確認していきます。
まず数字で全体像をつかむ
日本の高齢化率は29.3%です(内閣府『令和7年版高齢社会白書』2025年6月、2024年10月時点)。2040年には34.8%に達すると推計されています。
65歳以上が払う介護保険料は、全国平均で月6,225円です(厚労省「第9期介護保険事業計画期間における第1号保険料」2024年5月公表)。最高は大阪市の9,249円、最低は東京都小笠原村の3,374円。約2.7倍の地域差があります。
サービス利用時の自己負担は原則1割です。所得に応じて2割または3割になります。後期高齢者医療の保険料は全国平均で月7,082円です(厚労省公表、2024〜2025年度)。
| 項目 | 数字 | 出典 |
|---|---|---|
| 高齢化率(2024年10月) | 29.3% | 内閣府・高齢社会白書(2025年6月) |
| 介護保険料(65歳以上・全国平均) | 月6,225円 | 厚労省(2024年5月公表) |
| 利用時の自己負担 | 1〜3割 | 介護保険制度 |
| 介護職員の不足(2040年度) | 約57万人 | 厚労省(2024年7月公表) |
介護の担い手は足りなくなる
厚労省の推計では、介護職員は2026年度に約25万人、2040年度には約57万人不足します(第9期介護保険事業計画に基づく推計、2024年7月公表)。
国も手を打っています。2024年度の介護報酬改定はプラス1.59%でした。介護ロボットやICTを導入した事業所には「生産性向上推進体制加算」が新設されました。(Ⅰ)は月10単位、(Ⅱ)は月100単位です。
私は、人の温かさとテクノロジーの組み合わせが、この危機を乗り越える鍵だと思います。介護される側の私たちも、制度と道具の進化を知っておきたいものです。
今日からできる三つの備え
制度は、使い方を知っている人を助けます。次の三つを、元気なうちに済ませておきましょう。
- □ 地域包括支援センターの場所を調べる。介護の最初の相談窓口です。お住まいの市区町村名と合わせて検索すれば見つかります。
- □ 要介護認定の流れを知る。申請から認定までは原則30日以内と法律で定められています(介護保険法第27条)。申請、訪問調査、審査会、認定という順序です。
- □ 人とのつながりを保つ。148研究のメタ解析で、孤独は死亡リスクを26%、社会的孤立は29%高めると示されました(Holt-Lunstad et al. Perspectives on Psychological Science. 2015;10(2):227-237)。つながりは、それ自体が介護予防です。
最大の備えは健康寿命を延ばすこと
平均寿命と健康寿命の差は、男性8.49年、女性11.63年です(厚労省『健康寿命の令和4年値』2024年12月公表)。この差の期間が、介護や支援を要しやすい時間です。
つまり介護への最大の備えは、保険でも貯金でもなく、この差を縮めることだと私は考えています。歩くこと、食べること、人と会うこと。当ブログで毎週お伝えしている習慣は、すべてここにつながっています。
あなたは、地域包括支援センターの場所をご存じですか。この週末に、一度調べてみませんか。
制度の適用や個別の介護・健康の判断は、ケアマネジャーやかかりつけ医にご相談ください。
介護保険をより深く知りたい方は、入門書を一冊手元に置くのもおすすめです。
次回は月曜日、医療・健康管理のテーマでお届けします。
参考文献
- 内閣府『令和7年版高齢社会白書』(2025年6月)
- 厚生労働省『第9期介護保険事業計画期間における介護保険の第1号保険料及びサービス見込み量等について』(2024年5月)
- 厚生労働省『第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について』(2024年7月)
- 厚生労働省『健康寿命の令和4年値』(2024年12月)
- Holt-Lunstad J, Smith TB, Baker M, Harris T, Stephenson D. Loneliness and social isolation as risk factors for mortality: a meta-analytic review. Perspectives on Psychological Science. 2015;10(2):227-237.
- 介護保険法 第27条(要介護認定)