高齢者は免疫力が低下しているため、感染症が重症化しやすく集団感染のリスクも高い集団です。標準予防策(スタンダードプリコーション)を全員に・全場面で実施することが基本です。
1. 標準予防策の考え方
「すべての人の血液・体液・分泌物・排泄物・粘膜・損傷皮膚は感染性がある」と仮定し、誰に対しても同じ予防策を実施するのが標準予防策です。患者を選ばないことが特徴です。
2. 手指衛生の5タイミング
WHOの「5つのタイミング」は、①利用者に触れる前 ②清潔・無菌操作の前 ③体液曝露リスク後 ④利用者に触れた後 ⑤利用者の周囲環境に触れた後――です。アルコール手指消毒を主体に、目に見える汚れがあれば石けんと流水で洗います。
3. PPE(個人防護具)の使い分け
手袋・マスク・ガウン・ゴーグルを場面に応じて選択します。装着順と外す順は逆で、特に「外す順」が感染拡大を防ぐ鍵。汚染面に触れないよう手順を体得することが重要です。
4. ノロウイルス対策
ノロは感染力が極めて強く、嘔吐物・便から拡散します。塩素系消毒(次亜塩素酸ナトリウム0.1%)で処理し、アルコールは効きません。嘔吐物処理セットを各ユニットに常備しておきましょう。
5. インフルエンザ・コロナ対策
飛沫感染が中心。発症者の早期隔離、面会制限、職員のワクチン接種、換気が基本です。発熱・咳の症状観察を毎日記録し、集団発生の兆しを早く掴みます。
6. 疥癬・MRSA等の留意点
疥癬は「通常疥癬」と「ノルウェー疥癬」で対応が大きく異なります。MRSAは保菌と感染を区別し、過剰な隔離は避けつつ標準予防策を徹底します。
7. 集団感染時の対応
同症状が短期間に複数発生したら集団感染を疑い、保健所へ報告。ゾーニング・職員配置の見直し・面会停止など、初動の早さが被害を分けます。事前に対応マニュアルを作っておきましょう。
まとめ
感染症対策は「全員が・毎日・同じレベルで」実施できるかが勝負です。手指衛生・PPE・環境整備の基本を徹底し、新興感染症にも柔軟に対応できる体制を平時から整えましょう。
参考文献
- 太田 差惠子. (2022). 『親の介護でやってはいけない』. 翔泳社. Amazonで見る ›
- 太田 差惠子. (2021). 『マンガでやさしくわかる 介護とお金』. 日本能率協会マネジメントセンター. Amazonで見る ›
- 和田 秀樹. (2023). 『老後ひとり暮らしを楽しむ65のヒント』. 幻冬舎. Amazonで見る ›
- 杉山 孝博. (2020). 『認知症の人を支える 心のケア』. 中央法規出版. Amazonで見る ›
※ 上記書籍リンクには Amazon.co.jp アソシエイトを含みます。書籍はあくまで参考情報であり、医療行為の判断は必ず医師にご相談ください。