介護の自己負担には、月ごとの天井がある

要介護5の人が1か月に介護保険で使えるサービスの上限は、36,217単位です。1単位をおおむね10円とみなすと約36万円。1割負担なら、自己負担はおよそ3万6千円になります(厚生労働省『介護保険制度の概要』。区分支給限度基準額は2019年10月の改定後、据え置き)。

この上限を超えて使った分は、全額が自己負担です。一方で、上限の内側にある1割負担の側にも、別の天井があります。

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高額介護サービス費という仕組み

1か月に支払った利用者負担の合計が、世帯ごとの上限額を超えると、超えた分があとから払い戻されます。上限額は所得区分で決まり、厚生労働省の介護サービス情報公表システム「介護保険の費用」には次のように載っています。

区分 月額の上限
生活保護を受けている方等 15,000円(個人)
世帯全員が住民税非課税、年金収入等が82.65万円以下 24,600円(世帯)、15,000円(個人)
世帯全員が住民税非課税、82.65万円超 24,600円(世帯)
課税所得380万円未満 44,400円(世帯)
課税所得380万円以上690万円未満 93,000円(世帯)
課税所得690万円以上 140,100円(世帯)

課税世帯の区分は、本人または同じ世帯の65歳以上の方のうち、最も高い課税所得で判定されます。前年の所得をもとに、8月から翌年7月まで適用されます(新宿区の公表ページ)。同居の家族に所得の高い65歳以上の方がいれば、本人の収入が少なくても上限は上がります。

課税所得380万円未満の課税世帯なら、1か月の介護サービスの自己負担は44,400円で頭打ちです。

天井に含まれないもの

ここで見落としやすいのが、対象外の費用です。板橋区の案内では、福祉用具購入費、住宅改修費、施設の居住費(滞在費)、食費、保険給付の対象外サービスの自己負担は、高額介護サービス費に含まれないとされています。

施設に入ると、食費と居住費が毎日積み上がります。前出の公表システムによれば、特別養護老人ホームの基準費用額は、食費が1日1,545円、ユニット型個室の居住費が1日2,066円です。30日で単純に計算すると、食費が46,350円、居住費が61,980円。合わせて108,330円で、利用者負担の1割とは別にかかります。

所得と資産が一定以下なら、負担限度額認定で軽減されます。世帯非課税で本人の年金収入等が82.65万円以下の第2段階だと、1日あたりの食費は390円、ユニット型個室の居住費は880円。預貯金の目安は単身650万円以下、夫婦1,650万円以下です。利用には市区町村への申請が要ります。

医療費と合算した年間の天井

医療保険と介護保険の両方で自己負担が出る世帯には、高額医療・高額介護合算制度があります。年額で世帯の上限を定め、超えた分が支給されます。75歳以上の場合の上限は次のとおりです(同じく公表システム)。

所得区分 年額の上限
年収約370万円以下 56万円
市町村民税世帯非課税等 31万円
世帯非課税かつ年金収入82.65万円以下等(本人のみ) 19万円

超過額が500円以上のとき、医療保険者へ申請すると支給されます。この表には年収約370万円超の区分も別にあり、上限は67万円から212万円まで上がります。

払い戻しは待っていても届かない

払い戻しには申請書の提出が必要です。板橋区の場合、条件に当てはまる方には、サービス利用の概ね3か月後にお知らせと申請書が届きます。届いた書類を出さなければ、お金は戻りません。

自治体によって手続きの細部は違います。

私見ですが、介護保険は制度の存在を知っている人ほど有利に使える設計です。ケアマネジャーに「高額介護サービス費の対象になっていますか」と一言聞くだけで、確認は始まります。上限額や負担割合は見直しの議論が続いていますので、最新の金額は市区町村の介護保険窓口かケアマネジャーでご確認ください。

月曜日は、制度の話から離れて、健康習慣の話に戻ります。

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参考文献

  • 厚生労働省『介護保険制度の概要』(令和7年7月)
  • 厚生労働省 介護サービス情報公表システム「介護保険の費用」(https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/commentary/fee.html、2026年10月8日閲覧)
  • 東京都新宿区『高額介護(介護予防)サービス費』公表ページ(2026年10月8日閲覧)
  • 東京都板橋区『高額介護(介護予防)サービス費』公表ページ(2026年10月8日閲覧)
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この記事を書いた人

hasejiiのアバター hasejii 110歳健康寿命プロジェクト 運営者|介護福祉士|デイサービス管理者(経験10年)

介護福祉士として、デイサービスの管理者を10年間経験。現場で見てきた「健康に老いるための工夫」と最新の医学・栄養学の知見をかけ合わせ、世界第1位の平均寿命を誇る日本の食事・運動・睡眠・心の習慣を、優しい言葉で紐解いていきます。

「110歳まで自分の足で歩く」を合言葉に、科学的根拠のある情報だけをお届けします。

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