介護保険は申請から始まる|708万人の現実

五人に一人です。

厚生労働省『令和5年度 介護保険事業状況報告(年報)』(2025年8月28日公表)によれば、要支援・要介護の認定を受けた人は708万人。65歳以上に占める認定率は19.4%で、どちらも過去最高です。前年度から約14万人増え、初めて700万人を超えました。

払う側も見ておきます。65歳以上の第1号保険料は、第9期(2024年度から2026年度)の全国平均で月6,225円(厚生労働省、2024年5月公表)。40歳から64歳の方は、健康保険料に上乗せする形で納めています。

多くの人が、もう何年も払い続けているわけです。

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申請しないと、一円も使えない

介護保険は、こちらから手を挙げない限り動きません。

年齢が来たら自動で始まる制度ではないのです。ここを取り違えていると、必要になった日に、何も手続きをしていない状態から始めることになります。倒れてから調べ始める家族が多いのは、この誤解が一因です。

やることどこで
1要介護認定を申請する市区町村の窓口、または地域包括支援センター
2認定調査を受ける調査員が自宅などを訪問
3主治医が意見書を書く市区町村から医師へ依頼
4審査会を経て結果が届く原則30日以内
5ケアプランを作り、利用を開始ケアマネジャーと相談
要支援1・2、要介護1から5の七段階、または非該当に区分されます。

窓口は市区町村です。ただ、迷ったら地域包括支援センターに電話するほうが早い。全国の市区町村に置かれている無料の相談窓口で、申請書の書き方から教えてくれます。

申請は本人が窓口に行けなくても構いません。家族が代わりに出せますし、地域包括支援センターや居宅介護支援事業所に代行してもらうこともできます。入院中でも申請は可能です。退院してから、と待つ必要はありません。

認定調査の日に気をつけたいこと

調査員が自宅に来て、心身の状態を聞き取ります。ここでの受け答えが、認定区分を左右します。

問題は、多くの高齢者が来客の前で普段よりしっかりしてしまうことです。できないことを「できます」と答えてしまう。本人にしてみれば見栄ではなく、そのときは本当にできるつもりでいるのです。結果として、実態より軽い区分がつくことがあります。

対策は二つ。家族が同席すること。そして、困っている場面をあらかじめメモにしておくことです。「夜中に二回起きる」「浴槽をまたぐときに壁を使う」。日付と回数が入っていれば、なお伝わります。

主治医意見書も効きます。日頃の状態を知っている医師に書いてもらえるよう、申請の前にかかりつけ医へ一声かけておいてください。

使える金額には上限がある

区分ごとに、一か月に使えるサービスの上限額が決まっています。区分支給限度基準額といいます。2019年10月の改定以降、単位数は据え置かれています。一単位はおおむね十円です。

区分一か月の上限金額のめやす
要介護116,765単位約16万8千円
要介護219,705単位約19万7千円
要介護327,048単位約27万円
要介護430,938単位約30万9千円
要介護536,217単位約36万2千円
地域によって一単位が十円を超える場合があります。

この額を全部払うわけではありません。窓口で払うのは所得に応じて一割、二割、三割のいずれか。要介護3の方が上限まで使って一割負担なら、月およそ二万七千円という計算になります。

上限を超えた分は全額自己負担です。ただ、上限まで使い切る必要はありません。必要な分だけ、少しずつ始めればいい。

自己負担が重くなったときは、高額介護サービス費という払い戻しの仕組みもあります。所得区分で条件が変わりますので、市区町村の窓口で確認してください。

認定は切れる

意外な落とし穴がここにあります。

要介護認定には有効期間があり、期間が切れる前に更新の手続きが必要です。手続きをしないまま期限を過ぎれば認定は失効し、それまで使っていたサービスが使えなくなります。市区町村から通知は届きますが、届いただけでは何も起きません。

封筒は、届いたその日に開けてください。

あなたの住む市区町村の地域包括支援センターは、どこにありますか。

参考文献

  • 厚生労働省『令和5年度 介護保険事業状況報告(年報)』(2025年8月28日公表)
  • 厚生労働省『第9期介護保険事業計画期間における第1号保険料』(2024年5月公表)
  • 厚生労働省『区分支給限度基準額』(2019年10月改定、以降据え置き)
  • 介護保険法

制度をもう少し詳しく知りたい方へ。Amazonで「介護保険 制度」の本を見る

本記事は制度の一般的な説明です。認定区分や自己負担割合は個々の状況で変わりますので、具体的な手続きと金額は市区町村の窓口、または地域包括支援センターにご確認ください。健康状態や服薬のご相談は、かかりつけ医にお願いします。

次は、この制度を実際に動かす人の話を書きます。

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この記事を書いた人

hasejiiのアバター hasejii 110歳健康寿命プロジェクト 運営者|介護福祉士|デイサービス管理者(経験10年)

介護福祉士として、デイサービスの管理者を10年間経験。現場で見てきた「健康に老いるための工夫」と最新の医学・栄養学の知見をかけ合わせ、世界第1位の平均寿命を誇る日本の食事・運動・睡眠・心の習慣を、優しい言葉で紐解いていきます。

「110歳まで自分の足で歩く」を合言葉に、科学的根拠のある情報だけをお届けします。

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